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仙台高等裁判所秋田支部 昭和24年(を)73号 判決

被告人

高橋重治

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役六月に処する。

原審における未決勾留日数中五十五日を右本刑に算入する。

原審及び当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

職権をもつて調査するに、被告人は前記の通り原審第一回公判廷で本件犯行当時酒を飮んで前後不覚であつたどうして自轉車を持つて來たか判らないなどと述べているからこれは被告人から当時心神喪失乃至心神耗弱であつたとの主張がなされたものと謂はねばならない。原審は法律上犯罪の成立を妨げる理由又は刑の加重減免の理由となる事実が主張されたものとして判決の理由においてこれに対する判断を示さなければならなかつた。ところが原判決の記載をみると此の点に関する判断は示されていないから原判決は刑事訴訟法第三百七十八條第四号に所謂判決に理由を附せざるものに当る原判決はこの点において破棄を免れない。

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